映画の教科書、それは・・・・・「駅馬車」
西部劇の面白さはこれに尽きる。ジョン・フォード監督の名声を不動のものにし、ジョン・ウエィンを一躍スターたらしめた。
開巻、一通の電信が入る。文面は途切れ、最初の一語だけ。ジェロニモ・・・。インディアンの蜂起だ。劈頭から緊張した画面に引き込む巧みさ。
アパッチ蜂起の知らせの中、アリゾナのトントからニューメキシコのローズバーグに向けて1台の駅馬車が出発する。
それぞれ個性溢れる乗客たち、酒場女ということだけで町の夫人会に追い出されるダラス(クレア・トレヴァ)、酔いどれ医者(ト ーマス・ミッチェル)、ウイスキー商人、賭博師、守備隊の夫を訪ねてきた身重の夫人ルーシー。それに町の出口で待っていた銀行の頭取。後は護衛の保安官と馭者の一行だ。
軽快なメロディに乗って駅馬車はモニュメントバレーの荒野を走る。
M 「止まれ! 保安官が護衛とはな、ローズバーグまでか」 片手でウインチェスターをクルッとまわし、リンゴーが立ちふさがる。
YouTube リンゴー 馬車を停める
保安官のカーリーはリンゴーのウインチェスターを取り上げ、馬車に乗せてやる。駅馬車は再び走り出す。 やがて馬車は宿駅に到着。全員、下車して軽食を取る。皆から白い目を向けられる ダラス。リンゴーだけがダラスに優しさを見せる。駅馬車は出発。
身重のルーシーをしきりに気遣う賭博師ハットフィールド。酔いどれ医者はウイス キーに目をつけ、味見と称してやたらに飲む。銀行家は鞄をヒザに置いて抱え込んでいる。
やがて次の宿駅に到着。ルーシーの具合がおかしい。産気づいたのだ。止む無くここで足止めになる。そして酔いどれ医者の出番だ。一同寄ってたかってコーヒーを飲ませ、挙句は頭から水をぶっかける。 ダラスはルーシーに着ききりで世話を焼く。赤ん坊の泣き声が夜のしじまを破って聞こえて来た。医者に続いてダラスが赤ん坊を連れて出てくる。ワッと群がる一同。
F 「あなた なぜ逃げないの? 今すぐ国境を越えたほうがいいわ」
翌朝、密かに馬と銃を用意したダラスがキッドに脱走を勧めた。キッドもその気になり、逃げかけるが立ち止まる。後を追いかけた保安官がすかさず手錠をかける。
M 「逃げやしない。アレを見な」
リンゴの指差す彼方にインディアンの狼煙が上がっている。猶予はない。直ちに出発。 駅馬車の行く手にかかる橋は焼かれていたが、助け合って川を無事に渡った。ローズバーグはもう少しだ。
その時、アパッチの矢が駅馬車の屋根に突き立つ。襲撃だ。 脱兎の如く走る駅馬車、屋根に乗り銃を撃つリンゴ、保安官。賭博師と医者まで銃でインディアンを狙い打つ。このシーンはスタントシーンも織り交ぜた見事なものだ。疾駆する馬から馬へ軽業師のように飛び移るリンゴー。
あわや最後というときにかすかにラッパの音。騎兵隊がかけつけて来たのだ。無事、目的地のローズバーグに到着、銀行家は公金横領の罪で逮捕され、リンゴーはプラマー3兄弟との決闘に向かう。 残しておいた弾は3発・・・・・。不安そうな顔で見送るダラス。銃声が響いて!!
見事なラストシーンはいつまでも記憶に残るだろう。
1939年製作 アメリカ・モノクロ 監督 ジョン・フォード 出演 ジョン・ ウエイン クレア・トレヴァ トーマス・ミッチェル
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時計の針は無情にも刻一刻と進む 真昼に向かって-ー「真昼の決闘」
「真昼の決闘」は良心に従って決定を下さなくてはならない男の話である。
主人公の保安官ウイル(ゲイリー・クーパー)は5年の任期が今日の午後で切れるのを機にエミー(グレイス・ケリー)と結婚し、町を出ようとしていた。
ところが以前彼が逮捕して刑務所へ送った悪漢4人が、恨みを晴らしに正午に着く列車で戻って来ると言う連絡が入る。
F 「逃げて!」
新妻のエミーは責任感の強い夫にすがる。
M 「逃げても4人に追われる。荒野の中をどこまで逃げてもだめだ。死ぬまで追われる」
だが、町の人たちは報復を恐れ、誰一人として協力しようとしない。時計の針が刻一刻、正午に迫る。針の音まで聞こえてきそうな緊張感が漲る。
YouTube 時計の針が刻一刻・・・
静まりかえった町に列車の到着を知らせる汽笛が響き、やがて銃声が轟く・・・。
「ハイ・ヌーン」の主題歌が高まる中、クーパーの孤独な闘いが新妻役グレース・ケリーの協力で今、始まったのだ。
1952年製作、アメリカ モノクロ 監督はフレッド・ジンネマン 出演/ゲイリー・クーパー、グレイス・ケリー
* 花嫁役のグレース・ケリーはこのとき23歳、当時はまだ無名の新人だったそうである。一方、51歳のクーパーはグレゴリー・ペックがこの役を蹴ったため、人気に翳りがあった彼にこの役が回ってきたという。だが、彼は敢然とこの役に挑んだ。そしてアカデミー主演男優賞を勝ち取ったのである。
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